3Dio Japan

UserGuide

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Free Spaceシリーズは、簡単に様々な高品質バイノーラル収音ができるマイクです。しかし、「このマイクはいったい何なのか分からない」とか、「いったいどのように収音できるのか」、といった質問をたくさん受けます。そこで、ここではバイノーラルについてご存じない方に、できるだけ簡潔に説明したいと考えています。

「バイノーラル」という言葉の直訳は、「両耳の」を意味します。Free Spaceシリーズのシリコン製の耳は、実際の人の耳を型取りして作っています。また、両耳の間隔も人を模しています。耳道(耳の穴のところ)に配置したマイクカプセルは、人の耳についている鼓膜だと思ってください。
そのように、極めて人の耳の構造に近いFree Spaceシリーズを使えば、あなたの耳が音を拾うのと同じようにマイクを使って収音することができます。収音した結果をヘッドホンで聴けば、まるで生の音を自分の耳で聴いているような錯覚を起こすほど、リアルな音を再現できます。

Free Spaceを使うとと、以下のような録音を立体的にかつリアルに行うことができます。

  • ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)
  • 屋外環境のフィールド録音
  • 音楽録音
  • 映画製作
  • 立体音を用いたゲーム製作

 

Free Space画像

バイノーラルマイクロホンは、どのようなマイクロホンもそうであるように、音質を高めるための録音やミキシングのテクニックというものがあります。
皆さんには、ぜひ素晴らしいバイノーラル録音をしていただきたいと思っていますので、ハードウェアの説明から始めて、録音のためのセットアップ、実際の録音、そしてポストプロダクション作業(3Dサウンドを収音した後にやる作業)までをこのガイドでご説明したいと思います。

Free SpaceおよびFree Space XLRには、Primo社というメーカーのEM172という部品を使っています。
EM172は、通常のバイノーラル録音では十分な性能を有しています。低域は重厚に、高域は10kHzをわずかに超えたところでロールオフ(減衰)しており、総合的には暖かく感じられる音で収音します。

Pro IIには、DPA社というメーカーのDPA 4060という部品を使っています。
20~20kHzの周波数特性、ノイズの小ささ、感度のよさ、歪の少なさなど、すべてにおいて世界最高レベルの性能を有しています。極めてハイファイに収音しますから、プロのスタジオレコーディングや、より高音質を目指したASMRなどに適しています。

ステレオミニピン出力を使用する場合、マイクカプセルには内蔵の乾電池から電源を供給する必要があります。そのために、本体背面のPowerスイッチをONにします。
XLR出力を使用する場合には、外部機器からファントム電源を供給する必要があり、その場合、内臓電池は使用しませんのでPowerスイッチはOFFのままで構いません。

スイッチ部拡大画像

電池の交換は、マイクシャーシの上面4隅にあるネジをドライバで外して行います。POWERスイッチは、必ずOFFにします。電池は、角形006Pと一般に呼ばれる、9V電池を使います。
電池の替え時は、マイクの出力信号が小さくなった時です。通常、一日4時間ほどの使用であれば、半年ほどが交換時期とお考え下さい。なお、マイクを使用しない時は、必ずPOWERスイッチをOFFにしてください。

電池交換用画像

BASS ROLL-OFFスイッチは、200Hz以下の低音を緩やかに減衰させるスイッチです。主として屋外の録音で風による雑音をカットしたいときに使用します。また、屋内でも、バイノーラル録音に邪魔な暗騒音の低音をカットしたいときに便利です。
通常、BASS ROLL-OFF スイッチは、スタジオユースや静かな環境ではFLAT(低音減衰なし)で使いますが、スイッチを切り替えてご自分のイメージに合った方を選択してください。

なお、BASS ROLL-OFFは、ステレオミニピン出力のみに反映され、XLR出力ではスイッチの位置に関わらず、常にFLATな信号が出力されます。

Free Spaceシリーズは、5/8インチのマイクスタンド用アダプターが付いた状態で出荷されています。マイクスタンドに取り付ける場合はそのままお使いください。
また、そのアダプターを外すと、グリップハンドルやカメラ三脚取り付け用の1/4インチのネジ穴があります。ここにグリップハンドルやカメラ三脚を取り付けます。

マウント部拡大画像

小型ビデオカメラやオーディオレコーダをFree Spaceシリーズに取り付けて収録をする場合は、外付けマウント金具(オプション)を利用してください。

マウント金具使用例画像

Free Spaceの出力は、ステレオミニピン(1/8″ステレオ)端子です。
Free Space XLRとProⅡは、ファンタム電源に対応したXLR端子です。
ステレオミニピンケーブルを引き延ばすとノイズを拾いやすくなります。XLR出力にすると、ノイズに強い長距離伝送が可能になります。

どちらも、出力レベルは一般的なマイクレベルですので、外部機器のマイクアンプで増幅する必要があります。
また、XLR出力時には、48Vファンタム電源を外部機器から供給することで、初めてマイクを使用できます。その際、POWERスイッチはOFFにします。

XLR端子画像

Free Spaceシリーズをパソコンで録音・配信する場合、一般的なパソコンのマイク入力がモノラルであるために、パソコンだけではバイノーラル録音はできません。その場合、XLR端子のステレオマイク入力が付いたUSBオーディオインターフェースを使います。
オーディオインターフェースには、2ch以上のマイクアンプが付いていること、マイク入力はXLR端子であること、+48Vのファントム電源供給ができること、が条件です。現在、多くの製品が販売されていますが、この条件が満たされていれば、どの製品でもFree Spaceシリーズで問題なく使用できます。

オーディオインターフェースには、通常入力レベル調整のボリュームつまみが各入力チャンネルに付いています。それを使用して、マイクの左右の出力信号が同じレベルになるように調整します。
次に、左右の信号を、ステレオバスの左右のバスに完全に振る(パンニング)するように設定します。そうしないと、バイノーラル録音ができませんので、絶対にパンニングの設定は行ってください。

オーディオIF

簡単にバイノーラル録音をするには、ポータブルオーディオレコーダーを使うのが便利です。
Free Spaceシリーズと一緒に使うための条件は、そのレコーダが外部ステレオマイク入力端子をもっていることです。かつ、録音レベルを調整するための入力ゲインコントロール機能があることです。
ゲインコントロールに関しては、後でまた説明します。

使用するオーディオレコーダーに、自動ゲインコントロール機能や入力信号にコンプレッションなどの信号処理を施す機能があるようでしたら、それらをオフにできることも条件になります。 Free Spaceの出力信号そのままを録音しなければなりません。

外部録音機器

ビデオカメラにFree Spaceシリーズを接続して使用すると、簡単にバイノーラルビデオが収録できます。使用する時は、ビデオカメラにステレオ外部マイクロホン入力があるかどうかを必ず確認して下さい。通常は、ステレオミニピン端子になっています。
どのように入力ゲインを調整すればよいか、そして、どのようにマイクロホンを接続すればよいかを、カメラのマニュアルで確認して下さい。カメラによっては、何らかのアダプターが必要な場合もあります。たいていの場合は、同梱してあるケーブルで接続してすぐにバイノーラル録音での撮影を始めることができます。

なお、ビデオカメラは、「プロフェショナル」グレードのマイクアンプを持っていません。たいていの場合、そのようなカメラで録音すると、わずかにノイズが増えます。しかし、バイノーラル効果はまったく損なわれませんし、ノイズも実際には気にならないレベルであることが多いです。
多くの楽しい撮影では、便利さは何物にも勝ります。3Dio社のCEOであるJeffreyもカメラ入力をよく使っています。彼が撮影した「Chasing Ballons(気球の追跡)」というビデオでは、Free SpaceをダイレクトにGoPro へ入力しています。

ビデオカメラ

オーディオ入力のゲインコントロールは重要ですので、完全に理解しましょう。以下は、Jeffreyからのコメントです。

「私の好きなサウンドビデオのトップ8に入る列車の録音を行った時、最初はZOOM H1の入力ゲインを約60(最大が100)まで下げました。最初の列車が通り過ぎると、音が完全に歪んでいました。その歪がレコーダで起きていて、マイクで起きているのではないことに気が付くまで少し時間がかかりましたが、H1のマイクゲインの設定をやり直さないとダメだと思いました。 入力ゲインを30に下げ、次の列車が通り過ぎるのを録音しました。列車は通り過ぎる時に警笛を鳴らしたため、耳が痛く感じられました。それで、マイクは間違いなく歪んでいると思いました。しかし、録音はクリアで歪んではいませんでした。そして、最終的にこの2番目の列車の録画をビデオとして採用しました。

屋外で録音する際には、必ずレベルメータを見てクリップしていないかを確認しなければなりません。特に、大きな音を録音しようとする時は、必ずそうして下さい。具体的には、大きな音を録音できるところまで入力ゲインを下げてください。

最終的な音量については、後で調整できますから、気にすることはありません。録音時に歪まないように入力ゲインを十分に下げることが、覚えておくべき唯一の重要なことです。まとめると、レコーダのプリアンプが歪まない範囲で、録音信号をできるだけ大きくするように入力ゲインを調整してください。最も大きい音に対して理想的な入力ボリューム位置を見つけ、それよりも数ポイントゲインを下げてください。」

もしタイル張りの浴室にて録音をすれば、エコーが過多になり、音源の位置を判別することは難しいです。
リビングルームで録音をすれば、カーペットや柔らかい家具が、部屋の中の音の反射を減らしてくれますので、空間の中の音源位置は簡単に認識することができます。そして、あなたが実際にリビングルームの中にいるような音がします。
屋外で録音すれば、とてもオープンな音になり、音像の方向も容易に聞き取ることができます。屋外の空間は、壁やその他の物体の近くでない限り、無響室(音の響きが全くない実験室)と似ているからです。

バイノーラル録音の環境をセットアップする時には、ノイズも収音されることに注意しなければなりません。想像以上にはっきりとノイズも録音されます。外部ハードディスク、コンピュータ、子供、あなたのスマートフォンなど、ノイズを発生するものはその環境から排除してください。

ポータブルオーディオレコーダーの場合は、録音ボタンを押す前にヘッドホンでFree Spaceの音を聞くと、何を収音しているのかがはっきりわかります。オーディオインターフェースの場合は、ヘッドホンモニターで聴くことができます。
いずれにしても、録音や配信前にマイクの音を聴くことは常に実行してください。

マイクロホンの場所を考えることも重要です。
壁の近くにマイクを置くと、収音した音を聴くとすぐ近くに壁があるように感じます。これは、その壁が見えなくても、脳が壁で反射してくる音をとらえて、大きくフラットな面があることを認識するからです。
人の耳と脳はとても強力な能力を持っているにも関わらず、あまり使われていません。目の不自由な人の中には、音の反射を聞くだけで、物体のサイズ、形、そして素材まで分かる人がいます。聴覚は視覚よりも優れているのです。

以上の事から、全ての音、雑音、室内音響、マイクロホンの位置など、録音しようとする空間全体のあらゆるものに注意してください。そうすれば、最終的な作品の質を最大限高めることができます。

Free Spaceシリーズは、物体に近づいた感じを収音することに優れています。
マイクロホンの近く(約1.5m以内)に目立った音があると、ぞくぞくとします。これは、物体が見えなくても、バイノーラルサウンドが脳に何かが近づいていると知らせるからです。
Jeffreyは、こう言っています。「最初にバイノーラルを聞いた時に人々が考えるのは、バイノーラルは他の人を怖がらせるために使うにはもってこいだということです。」

音が近くにある感覚は、バイノーラル近接効果です。従来のマイクでも近接効果は起こります。しかし、それは音源が近づいたか遠ざかったかで変わる、マイクロホンの周波数レスポンスの変化です。
バイノーラルマイクでは、マイク自体の性能というよりも、音像自体の空間的な変化です。音が近づいたという印象をバイノーラルマイクで収音できるのは、たいへん好ましい特長です。というのは、何か他のものがそこにあるという、人の3D体験を強調してくれるからです。

一方、バイノーラル録音にビデオを加えると、使用するカメラレンズによっては、映像フレームの中の視覚的な近接感が劣化してしまうことがあります。したがって、近接した対象物をバイノーラルビデオに収録する場合、使用するカメラやレンズのタイプを検討しなければなりません。

ASMRや音楽家の演奏などの近接した対象物を撮影するには、広角レンズの使用がベターです。広角レンズは、近接した対象物をバイノーラルビデオ撮影するにはたいへん優れています。なぜなら、表示される映像と聴こえの距離がより密接に一致するためです。

50mm以上の長い焦点距離のレンズで近づいた対象物を撮影するには、正しい遠近感ですべての対象物がフレーム内に収まるように、対象物から距離を離して撮影しましょう。
ギターを演奏している人を撮影するには、カメラを1.5~3m離してフレーム内に収めるのが適しています。この場合、問題になるのはビデオで、その人がちょうど0.9mだけ離れているように映っているのに対し、カメラに取り付けたバイノーラルマイクで収音した音により脳はその人から1.5~3m離れているように感じることです。このことは、ビデオとバイノーラル録音における潜在的課題です。そのような距離知覚の不一致によって、ビデオを見ている人を混乱せてしまう可能性があります。

これを解決するためには、コンプレッションを少し用いる(後で解説します)、あるいは、カメラからマイクを外して対象物の近くに移動する(カメラに映らないように)といった方法があります。

コンプレッションは、オーディオエンジニアが音をコントロールするためのツールで、一般にはポストプロダクション、すなわち録音の後に用いられます。プラグインソフトウェアか、外部ハード機器のコンプレッサを用います。

コンプレッションは、大きな音のボリュームを抑えながら、小さな音のボリュームを押し上げ(ブースト)ます。コンプレッションによって、録音のディテール(静かな部分)を大きくすることができ、結果として全体の音量を大きく、より豊かにすることができます。現在、すべてのラジオやテレビの放送局、音楽アルバム、ではコンプレッションを用いて音のバランスを整えています。

バイノーラルでは、ダイナミックレンジ(音の大きさの大小の範囲)を無傷のままにしておきたいという考えから、コンプレッションを使用すべきでないという主張があります。理想としては賛成ですし、真実だと思います。しかし、私たちは理想的な世界に生きているわけではありません。実際、コンプレッションは、バイノーラルにとってもたいへん価値のあるツールです。

バイノーラルオーディオにコンプレッションをかけると、対象の音が実際より近くに聞こえる効果が生まれます。なぜなら、小さな音がブーストされるため、脳がその音をより近くにあると認識するからです。焦点距離の長いデジタル一眼レフカメラのレンズに関して説明しましたように、音をより近くにしたい時にこの効果は利点になります。適切な設定でコンプレッションを用いれば、よりイマーシブなリスニング体験を得ることができます。

実際にコンプレッションをどのように用いるかについては、ポスト処理のセクションで説明します。

ポスト処理(いわゆるポストプロダクション)は、一般的には生の映像とオーディオを収録した後、ビデオとオーディオについてパソコンソフトウェアで行う編集作業です。ここでは、映像のポスト処理には触れず、バイノーラルオーディオのみに焦点を絞って解説します。

バイノーラルに関しては、Free Spaceシリーズから出力されたバイノーラルサウンドがすでにその段階で十分に優れているということは、大変素晴らしいことです。しかしながら、異なる場所で録音された別々のオーディオやビデオを使用する場合、音の一貫性を確保するためにバランスを取ることは重要です。ポスト処理では、ベストなトラックを用いて録音された生音の品質を向上することがゴールです。

ポスト処理の最も重要な項目の1つがローエンド(低域)です。低域ロールオフフィルタを入れて録音したかどうかに関わらず、ミキシングする時には、低域に注意しなければなりません。低域が不足したり、強すぎたりしないように、うまくバランスを取らなければなりません。低域が不足したオーディオトラックは、弱くまた薄っぺらに感じます。しかし、低域が強すぎると、極めて不自然で不快な音になります。

ここでの低域とは、約200 Hzから下の帯域で、それをカットしたりあるいはブーストしたりするポスト処理を解説します。使うフィルターは、ローシェルフ・フィルターになります。ローシェルフ・フィルターの「ニーポイント(処理を開始する周波数)」を約200 Hzにして、ゲインを上下するのが良いと思われます。
参考までに、BALL ROLLOFFをONでFree Spaceで録音した場合、このニーポイントでゲインを約+9dBにすると、低域をほぼリカバーできます。

前述のコンプレッションをポスト処理で施すことも有益です。

なお、ポスト処理は、左右のチャンネルを同じ処理をする必要があることに注意してください。いわゆる、ステレオ・カップリング機能をオンにしてお使いください。オフにすると、左右のチャンネルが個別に処理されてしまいバイノーラル効果を崩壊させてしまいます。

風はバイノーラルにとって大きな問題です。風がマイクカプセルにあたると、特に低い周波数帯域で、あらゆる種類の好ましくないノイズを発生します。この風の問題に対して、完璧に対処できる武器が2つあります。

1つ目は、BASS ROLL-OFFスイッチ(低域ロールオフ・フィルター)です。これについてはすでに説明しました。

2つ目の武器は、アクセサリーの専用風防です。

3Dio専用風防画像

このFree Spaceシリーズ専用風防は、風速が遅い時には風音をすべて消し、風速が早い時にはリアルな音にしてくれます。風防はFree Spaceへの風の影響に対する究極の方法ですので、どのような屋外録音でも用意しておかねばなりません。
なお、風の音を生かしたい場合は、風の低音を引き出す60~80Hzの帯域をEQでブーストすることをお勧めします。

Free Spaceをビデオカメラの外部マイクロホン入力にダイレクトに接続すれば、バイノーラルオーディオは自動的にビデオと完全に同期して録音されます。これは素晴らしいことで、カジュアルなバイノーラルビデオにとっては大変良いことです。しかし、前述のとおり、録音品質は最高とは言えません。より高品質なオーディオが必要であれば、録音には外部録音機やオーディオインターフェースを用います。

そのような場合、ビデオに、外部録音機で録音したオーディオ信号を時間同期させる必要があります。この作業は、コンピュータで、標準的なビデオ編集ソフトウェアを用いて行うことができます。
色々なソフトウェアから選択することができますが、最低条件としては、複数トラックのオーディオを取り扱える必要があります。

カメラのオーディオトラックをソフトに取り込み、その音を基準にバイノーラルオーディオトラックの時間調整をします。オーディオトラックにズームインして、カメラのオーディオ信号とFree Spaceのオーディオ信号の波形ができるだけ揃うように、Free Spaceのオーディオトラックの時間を移動調整します。同期が終わったら、カメラのオーディオトラックを、忘れずにミュートか削除してください。

高品位なカメラや録音機には、タイムコードという時間情報を録音できるトラックが用意されている場合があります。その場合は、タイムコード同期という作業を行います。操作は機器ごとにことなりますので、それら機器のマニュアル等をご覧ください。

MP3ファイルのような圧縮フォーマットで処理されたオーディオ信号は、データサイズを小さくするという意味で「圧縮」と呼ばれます。それらは、私たちの聴こえの性質を利用しており、人が聴くことが難しい周波数成分を削除するとともに、音の大小の範囲(ダイナミックレンジ)も減少させます。ほとんどのコンテンツは、圧縮されたビデオとオーディオを用いています。

しかし、ポータブルオーディオレコーダーやパソコンでバイノーラル録音する場合、最初の録音の保存では圧縮をしないでください。録音データはいわば元データですので、その段階で圧縮されていると、その後何を施しても本来のバイノーラルの音響情報は再現されません。できれば、96 kHzサンプリング、24 bitsのWAVファイルで録音データを保存してください。

また、バイノーラルビデオをYouTubeなどのビデオサイトにアップロードすると、さらにファイルが圧縮され品質が劣化してしまいます。そのため、最初の録音はできるだけ高い品質で録音をしておくことが重要なのです。

マイクを使用しないときは、必ず電源を切ってください。付属のケースはマイクを損傷から保護するように設計されていますので、マイクはケースに保管することをお勧めします。マイクをマイクスタンドまたはカメラ三脚に取り付けて保管することもできます。絶対にやってはいけないことは、シリコン部分(円盤と耳介)の端が何かにあたったまま長期間保管することです。そうすると、シリコンが永久に歪む可能性があります。

シャーシとシリコンの円盤や耳介は、ペーパータオルを使用して軽い水拭き清掃してください。研磨剤や刺激の強いアルコールクリーナーの使用は避けてください。
マイクカプセルには絶対に触れないでください。また、マイクカプセル付近でエアーダスター(缶に入った圧縮空気)を使用しないでください。使用すると、マイクカプセルに致命的なダメージを与える恐れがあります。

  ご使用の前に

3Dio製品をご使用の前に、以下チェック項目をご確認ください。
集音がうまくいかない場合も、まず以下のチェックをお願いします。

製 品チェック項目
共 通  電池の残量は充分ですか?
  (電源をオンにしたままですと、使用していなくても電池は減っています)
 接続先の機器は、ステレオマイク入力端子を持っていますか?
  (Free Spaceはステレオマイクです)
 接続先のマイク端子は、マイク入力に設定されていますか?
  (ライン入力や楽器入力になっていませんか?)
 左右両チャンネルのマイクアンプのゲインを、適正に調整していますか?
 マイクアンプに自動ゲイン調整機能がある場合、オフにしていますか?
 パソコンのマイク入力に、ステレオミニピンケーブルを接続していませんか?
  (一般的なパソコンのマイク入力はモノラルですので、片耳の音しか録音できません。)
Free Space XLR  /
Free Space ProⅡ
 バランス型XLRマイクケーブルを2本使用していますか?
 XLRケーブル接続時は、接続先のファントム電源を左右共オンにしていますか?